刊行 書の紹介・評価 例(抄)

 

須藤 祐孝・油木 兵衛編著 『読む 年表・年譜 ルネサンス・フィレンツェ ,イタリア,ヨーロッパ
                  ―― サヴォナローラ,マキァヴェッリの時代 ,生涯 』

『毎日新聞』 2002-10-27.(朝刊) 「本と出会う―批評と紹 介」

(前略)
 タイトルが長いが、それだけで、扱う題材は明白。内容が凄い。ルネサンスの主要舞台の一つフィレンツェ、そしてこの時期の最も興味ある事件が様々に起こ り、人物たちが活躍する。誰もが、どこかで関心を抱いたことのある世界だ。それでいて、生半可な知識ではなかなか追いかけ難い、飲み込めない複雑な歴史の 絡み合いが、接近を諦めさせがち。それを、一目瞭然の形で示そうという著者たちの執念と努力は、並大抵ではない。添えられた人物索引や家系図、時間の経過 に従って用意され た歴史地図だけでも、この時期のあらゆる文献を読む際の座右とするに足るものと言える。          (陽)

『毎日新聞』 2002-12-22.(朝 刊)    02年「この三冊」書評者が選ぶ

村上陽一郎

  ルール連反だが、一冊だけにさせて戴く。短評でも取り上げたものだが、敢えてもう一度。この年表は一四二五年に始まり、一五七四年に終わる。この間に、マ キァヴェッリの生涯がすっぽりと入る。項目はイタリアとそれを巡るヨーロッパの動向、次にフィレンツェの状況、第三にマキァヴェッリの生涯、そして最後に 文化・文芸の動きとなっている。それに、丁寧な当時の歴史地図、メディチ家などの家系図が付される。巻末の索引も凄い。この時代に関心」を持つ読者は多 い。この一冊で、知識の整理が見事にできるはずだ。

『産経新聞』 2002-10-12.(夕 刊)    文化欄

「読む年表」の驚き

(前略)
 約二十年を費やして編集した労作だ。
(中略)
 時代は一四二五年から一五七四年まで。マキャヴェッリとサヴォナローラの生涯を中心に、フィレンツェ、そして全ヨー口ッパの日々の記録を詳細に拾い上げ た。ルネサンス期の「在るがままの真実」を全体で捉えようとする試みで、いわば木を見て森を見る年表。巻末には歴史地図や家系図も添えた。
 「日本のみならず世界でも(?)ユニークな書の、小社〈倒産〉を賭けての刊行」と謳う。「刊行」というより、「敢行」。感動的である。
 「『事実』の持つどうしようもない重さへの関心」からこの難儀な仕事を始めた、と書く須藤さん。おびただしい資料との格闘の日々。
 このご時世に「自分達がこれぞと思うものを分達で編集し刊行し、自分達で直接、読者に届ける」。このマニフェストもまた、感動的だ。

『週刊新潮』 2002-9-5.    「十行書評」

1425年から15574年
に亘るルネサンス期の「読
む年表、年譜」。特に、サヴォ
ナローラ、マキァヴェッ リ
の生涯を綿密に組み込み、
同時に当時の思想、文学、
美術の動向をとらえられる
よう配慮されている。完成
までに20年の歳月をかけた
地方出版社の労作。





『図 書新聞』、1994年5月21日号

藤沢 房俊、書評、F・シャボー 『ルネサンス・イタリアの<国家>・国家観

国家の概念を検証

(前略)
 フェデリーコ・シャボーについては、訳者による詳細で丁寧な「歴史家シャボーの生涯と学風」にあるように、教鞭をとったミラーノ大学、ロー マ大学で多くの優秀な弟子を育てた教育者であり、国際歴史学会会長もつとめた世界的に著名な歴史家である。‥‥‥今回の翻訳はまさに遅きに失したとも言え る。
(中略)
‥‥‥この三編の論文は、「勢力均衡」の原理が展開したイタリアの十五世紀なかば、すなわちルネサンス期のイタリアにおいて「国家」という概 念が存在したのかどうか、また、マキァヴェッリにおいて「国家」、「国民」、「祖国」なる概念がいかなるものであるのかを検証したものである。
(中略)
‥‥‥国民国家や民族が問いなおされている今、「創られた民族」、「創られた国民国家」を考える上でも、この翻訳の持つ意味は決して少なくな い。最後に、「自分で書きあるいは訳したものを自分で販売したい」と、現在の学会・出版界に敢然と挑戦したドン・キホーテ的な訳者の心意気は、いかにも爽 やかである。

 

『図 書新聞』、1998年2月28日号

永井三明、書評、マキァヴェッリ「忘恩、運命、野心、好機」

 須藤祐孝氏は一貫してマキァヴェッリ研究にうちこみ、幾多の論文はもちろん、すでに代表的研究 書であるサッソとシャボの作品の翻訳を手がけ て、さらには精緻を極めた年表──マキァヴェッリ自身のみならず同時代史をふくむ──を作成して来たことで知られる政治思想史研究者である。このたび『マキァヴェッリ 忘恩、運命、野心、好機』という題名の編訳・解説を刊行した。
(中略)
 なお本書では詳細な訳註が親切につけられているうえに、著者の最近のフィレンツェ留学中に戯曲『マンドラーゴラ』の上演にたまたまぶつかっ て十回も観劇したことの記録を肩の力をぬいたタッチで語られているのも楽しい。
 著者須藤氏は、まことにユニークな発想のもとに、執筆・編集・出版・販売を一元化した「無限社」を設立して、本書はその試みの第二冊目にあ たる。

 

『朝 日新聞』、2000年3月21日、夕刊、 コラム「経済気象台」

マキャベリの至言

(前略)
 最近、ある政治経済学者と雑談する機会があった。話はついにマキャベリの「君主論」に及び、「この一冊で、その思想がよくわかる」という本を紹介され た。書店には置かれないため、直接注文するしか入手方法がないが、須藤祐孝編訳「マキャヴェッリ──忘恩・運命・野 心・好機」(無限社<岡崎>発行)という本である。
 その本の中に、「君主論」から引用した「‥‥時代や状況の変化に適応できるほどに思慮深い人物は見当たらないものである。人は(持って生まれた)性質が 向かわせる所から逃れることはできないからである。また、一つの道を歩んで隆盛を誇るとその道から離れる気にはなれないからである。‥‥」という記述を見 いだした。まさに人間心理の核心を突いた至言ではないか。(後略)(梟)
 

『産 経新聞』1999年2月27日  「BOOK 本」欄

サヴォナローラ 『ルネサンス・フィレンツェ統治論

処刑された修道士の政治思想

(前略)
一四〇〇年代末のフィレンツェの人心を深く捉え、熱く動かしたドミニコ会修道士ジローラモ・サヴォナローラ。‥‥‥
(中略)
本著にはサヴォナローラが残した膨大な説教の中から、彼の思想の基本を成す信仰や哲学、政治論が披瀝されている説教十五本と、それらが集約さ れている論文の翻訳、それに彼の用語の意味や時代背景についての詳細な訳注、その生涯と思想などを追った八十ページを越す長文解説が収録されている。キリ スト教とフィレンツェ史については二人のイタリア人研究者の協力を得たという。
(中略)
「説教は当時の市民になされたもので、豊かさや華やかな文化に伴う堕落した現象に対し、人々を叱り、たしなめる彼の言葉は宗教や時代を超え、 現代の私たちにも多くの事を語りかけていると思いますよ」と編訳者は話していた。
(文化部 田島 政雄)
 

『宣 伝会議』(宣伝会議社)、1999年8月 号 (54〜59ページ)

草柳大蔵、「知への旅立ち(23回)、たとえばサヴォナローラのような」

(前略)
 最近、書物の世界の中で、私が最敬礼した「異端」は、須藤祐孝氏の翻訳・解説によるサヴォナローラの『ル ネサンス・フィレンツェ統治論』です。久しぶりに、読むべき本を読んだ、という思いでおります。
(中略)
 なぜ、かくも須藤氏は、日本人にはそれほど知られていないサヴォナローラという、昔の一僧侶の物語と取り組んだのか。しかも、須藤氏は「無 信の徒」なのです。
 「自分が信じたものに、信仰にひたすら従って、あるいは縛られて生き、かつそのため死ぬ人間の立派さ、すごさ、哀れさ、惨めさ、愚かさ等 々、視点の違いに応じて様々に受け取れるものを一身で典型的に表わして見せていると思えるサヴォナローラという人物に、あるいはその生き方に引かれたから である」
 こういう仕事を「地球に爪跡を残す仕事」というのだと思う。この本は愛知県岡崎市石神町所在の「無限社」から出版されている。「無限に赤字 を累積する出版社」と須藤さんは笑いますが、私たちには笑ってすまされぬように思えてなりません。

 

『新 潮』(新潮社)、1999年8月号 「新 潮Forum」(321ページ)

 15世紀末、僭主ロレンツォ・デ・メディチが支配するフィレンツェに現れ、その支配の腐敗を激 烈に攻撃し、天罰は近づいたと扇動、ついには 権力を把握して厳格な神裁政治を敷いたサヴォナローラ。ついには、焚刑に処せられたが、16世紀のルネサンスの文学・思想・芸術に甚大な影響を与えたこの 異端の宗教者については、日本でも多くの本が書かれてきた。しかし、本人の著作に関しては、説教の断片的紹介を除いては、原典の翻訳は皆無に等しいといえ る。
(中略)
 このサヴォナローラの政治論が「ルネサンス・フィレンツェ統治論─説教と論文」という表題のも と、日本で初めて翻訳された。(403ページ 定価3990円)
 編訳、解説を担当した愛知大学法学部教授の須藤祐孝氏は、研究者であると同時に、この翻訳書を出版する愛知県岡崎市の地方出版社「無限社」 の経営者でもある。

 

参照:トップページ(購入方法)

BD14710_.GIF (766 バイト)

〒444-0079 愛知県岡崎市石神町18-11
FAX.0564-24-7820
郵便振替 00830-4-125956 無限社(岡崎) 

© 無限社. All rights reserved.